小規模撮影、ミキサーを使わないという選択
スチルカメラマン出身のビデオグラファーさんには共感頂けると思うのだが、一人で撮影、証明、録音をやりたいと思うのではないだろうか。それぞれを専門家に任せるという選択もあるのだが、そうじゃない撮影のメリットもある。
ビデオグラファーの機材選びについて
照明機材はLEDが主流になったことで、機材はとても小さく少なくなった。これはいいことで、映像作りが楽になって幅が広がった。
さて、録音機材も、実は小さく軽くなった。
ただ、根本的に録音の情報が少なくて、ビデオグラファーさんたちの録音機材の構成は、とてもじゃないけどプロの音を録るような構成ではない。
まず、ショットガンマイクという、プロでもセッティングが難しいマイクをカメラに付けたまま録音したがるのだが、これだといい音になる条件が狭すぎる。つまり、ショットガンマイクというのは『距離が明確にわかるマイク』なので、近い音は近くに、遠くの音は遠くに聞こえる。また、エアコンなどが響く室内では、その雰囲気がわかるのがショットガンマイクだ。
だから、ショットガンマイクを使う場合、マイクと演者の距離感は非常に難しいし、基本的にはマイクブームを使って距離感の演出が必要になるのだ。
つまり、ワンマンオペレートのカメラマンにとってショットガマイクは本末転倒した機材だ。一人では扱いにくい機材の代表がショットガンマイクなのだ。
どれだけ機材やスタッフをシンプルにできるか?
ショットガンマイクを使いこなすには、やはりもう一人スタッフがいないと難しい。そこで、ワンマンオペレートで撮影することを考えると、ショットガンマイクは却下。
ということで、使うべきはピンマイクということになる。
これまで、ピンマイクというと無線マイクだと言っていいくらいだった。僕の著書『録音ハンドブック』(玄光社)でも、無線マイクを手に入れるべき、と書いた。具体的な購入候補はWireless Goを推奨しているし、今でも、これを推奨したい。
ただ、無線マイクを複数使う場合、フィールドレコーダー(ミキサー)が必須だ。また、電波が途切れたり衣ずれしたりする事故を回避するためにも複数のマイクを同時に聞く必要があるから、ミキサーが必須になる。
でもね、ZOOMからF2-BTが登場して、僕の考え方が広がったんだ。これは超小型レコーダーで、このブログでも再三取り上げているので、詳細の説明は割愛する。
ポイントは、出演者の数だけF2-BTを用意すれば、ほぼカメラマンは音のことを考えずに撮影できるということだ。襟元にクリップで取り付ける方法であれば、カメラマンは音を観測しなくても大丈夫だろう。(ただし、マイクの取り付け方が正しく、出演者が首を大きく振ることがなければ)
ドラマのようにマイクを隠す必要がある場合にだけ、先程の衣ずれだけが問題になるので、これを見つける工夫だけが必要だ。これもこのブログで書いたと思うが、安価なBluetooth送受信器を使えばいい。ミキサーを使わず、ステレオケーブルの分岐アダプターで繋ぐだけでいい。
複数のマイクを分岐アダプターで混ぜて録音するというアイデアは、ダメ。混ぜてしまった音は後でどうしようもないのだ。レコーダーが複数あるからこそ、現場で調整せずに撮影できるのだよ。
その辺りの基本は、YouTubeでも解説しているので、ご参照あれ。