桜風涼(渡辺健一)の録音ノウハウ集

Tentacle Sync Eでカメラと音声の同期!

wataken2003

先日、経済団体の講演会を3カメで撮影したんだ。そして、音声はレコーダーF6で別撮り。

タイムコードシンクロは非常に楽だ

今回は、ドイツのTentacle Sync Eという小さなタイムコードジャネレーターで音声タイムコードをカメラに入力して、マルチカメラ収録を行った。

非常に簡単で、マッチ箱くらいの機械をカメラの音声入力に入れるだけでいい。Tentacle Sync EはBluetoothで複数台を同期する事ができるんだけど、僕は2台しかもっていない。でも、カメラが3台、レコーダーが1台と数が足りないんだ。

でも、大丈夫。音声タイムコードというのは、ファックスの音みたいな音声信号なので、ヘッドホン用の分配ケーブルがあれば、数台くらいは1個のTentacle Sync Eで同期できる。

場所が離れた所にカメラとレコーダーがある

今回は、ベースとなる会場後方に2つのカメラ、ちょっと離れた会場のミキサーエリアにレコーダー、もう1台のカメラは会場前方と、設置場所が3箇所に別れている。
あれあれ、Tentacle Sync Eは2台で、場所が3箇所。足りないじゃん!

いえいえ、実は、F6などのプロ用レコーダーには、JAMシンクという機能があって、まず、Tentacle Sync EとF6をケーブル接続してTentacle Sync Eのタイムコード(時計みたいなものね)を覚えさせる。すると、ケーブルを外してもF6はそのタイムコードを自動的に進めて、同期を保ち続けるんだ。

F6と同期した後で、会場後方の2台のカメラにはTentacle Sync Eの出力(音声信号)を分配ケーブルで信号を分けて、カメラのマイク端子に入れる。ここでTentacle Sync Eが1台使われる。
会場前方のカメラには、余っているもう1個のTentacle Sync Eを繋ぐんだ。

ちなみに、Tentacle Sync Eはマイクだと思っていただければいい。3.5mmステレオプラグが刺さるので、それをカメラの音声入力に入れるだけね。

つまり、カメラはタイムコード信号を入れっぱなし、レコーダーは切り離せるということです。

編集は劇的に楽になる

さて、タイムコードシンクロは、画質が上がるわけでも音質が上がるわけでもなく、単に編集が楽になるだけです。

でもね、これがかなり劇的。70分が3カメラ分と音声も70分。ファイルサイズでは、音は2GBくらい(32bitフロート)、映像は20GBくらいが3本。
これをPremiereやFinal Cut Pro Xの同期機能を使うと、結構な時間がかかるし、それだけじゃなくて、特にPremiereの場合には音が1フレームずれたりする。

今回は、Tentacle Sync EにライセンスされているTentacle Studioという専用アプリを使って同期。
これがすごい。
撮影ずみSDカードをHDDなどにコピー(AVCHDはPrivateフォルダーごと)して、それをフォルダーごと、このアプリにドラッグ&ドロップするだけ。それだけで10秒もかからず、マルチカメラの同期したタイムラインが出来あがっちゃう。長時間撮影の場合には、カメラによってはファイル分割されるけど、このアプリは、まぁ、基本的には自動認識してトラック分けしてくれる。たまに同じカメラを別トラックに割り振っちゃう場合があるけど、その時には手動でトラック指定(このアプリ内ではグループ指定)すればいい。

編集アプリのプロジェクトとして出力できる

さて、劇的なのは、この後! Tentacle Studioの出力はいくつかあるんだけど、実は主要な編集アプリのプロジェクトファイルとして(XML)書き出せる。つまり、Tentacle Studioの出力ファイル(1個のXMLファイル)を編集アプリで読み込めば、マルチトラックのプロジェクト(シーケンス)になって、そのまま編集できちゃう。編集アプリの同期機能を使わないってことね。
言い換えれると、編集アプリに撮済みの動画ファイルや音声ファイルを読み込みする必要もない。Tentacle StudioのXMLファイルを読み込ませれば、後は必要なファイル処理は勝手に行われちゃう。

ということで、劇的に編集が楽、高精度に同期される、ちょっと高価なツールだけど、仕事の効率は劇的に上がるぞ。

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